春日良一
著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。

世界陸連会長ブチ上げ「金メダリストにボーナス」は五輪を単なる賞金大会へと変える大暴挙

公開日: 更新日:

 4月初旬、世界陸連の会長セバスチャン・コーが驚くべき発表をした。「パリ五輪で金メダリストにボーナスを支給する」と言うのだ。

 さらに驚いたのは、このニュースについて日本のメディアがほとんどスルー状態であったことである。

 これは五輪史初の試みであり、日本オリンピック委員会事務局として五輪プロ化問題に携わった私にとっては、五輪史を揺るがすほどの大問題にしか思えない。

 オリンピックを長年支えてきたアマチュアリズムという概念が忘却のかなたに去ってしまっているが、金銭のためではなく純粋にスポーツを愛するが故にスポーツをする思想は、オリンピックの哲学「オリンピズム」を支えるものであった。元来、競技に参加することで金銭的報酬や物質的恩恵を得たものはオリンピックに参加することができなかったのだ。

 1980年のモスクワ五輪ボイコット事件から政治に左右されない経済基盤をつくるべく、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪の商業化に踏み切った頃、ソ連や東独など国家が全ての面倒を見る選手は五輪参加可能であった。競技を職業とする実質的なプロであった彼らはステートアマと呼ばれ、資本主義国のアマチュア選手との競技力不均衡が問題となった。そして五輪を世界最高峰のスポーツ祭典とすべくプロ選手の参加を容認するオープン化に至る。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    北乃きいが「まるで別人!」と話題…フジ「ぽかぽか」でみせた貫禄たっぷりの“まん丸”変化

    北乃きいが「まるで別人!」と話題…フジ「ぽかぽか」でみせた貫禄たっぷりの“まん丸”変化

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  1. 6
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  2. 7
    静岡県知事選で「4連敗」の目 自民党本部の推薦が“逆効果”、情勢調査で告示後に差が拡大の衝撃

    静岡県知事選で「4連敗」の目 自民党本部の推薦が“逆効果”、情勢調査で告示後に差が拡大の衝撃

  3. 8
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9
    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10
    “絶対に断らない女”山田真貴子元報道官がフジテレビに天下りへ 総務官僚時代に高額接待で猛批判浴びる

    “絶対に断らない女”山田真貴子元報道官がフジテレビに天下りへ 総務官僚時代に高額接待で猛批判浴びる